継続力

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日経コンピュータ 2021年8月5日号 〜特集 みずほ銀行 2021年システム障害〜

表紙は、「みずほ銀行 2021年システム障害 変わらぬ組織の病」です。

今回はみずほ銀行のシステム障害に関する詳細な分析が紹介されていました。
自社システムは大丈夫かを考える良い機会になりますので、是非読んでみてください。

数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。

 

 

印象に残ったテーマ① みずほ銀行システム障害の背景には35の問題点

2021年2月〜3月にかけて、2週間で4件ものシステム障害が発生したことは記憶に新しいかと思います。
これらの障害の背景にある、35の問題点について詳細に説明されていました。
どの問題も非常に難しく、簡単には解決できないという印象を受けました。

その中でも、特に、問題が発生したことに直ぐに気づけないという問題点が非常に致命的だと思いました。
システムリリース前に、問題が発生した際の対応方法は、普通はよく検討するかと思いますが、問題に気づけないとなると、いかなる対策も無意味になってしまいます。
今回のシステム障害を踏まえて、しっかりとしたシステム運用の監視体制を構築して欲しいものです。

 

印象に残ったテーマ② 他行の標準的なシステム仕様の理解不足

一連の障害の中で特に印象に残った、ATMにカードが取り込まれて返ってこなくなる問題に関する記事が印象的でした。
他行では1990年代にATMの休日稼働や24時間稼働が広がった際に、営業店に職員がいない時間にカードが取り込まれて返ってこなくなると、顧客に迷惑をかける恐れがあることから、ATMにカードを取り込んだままにしない仕様に変更していたようです。
このように、他行では時代背景に合わせ、その時々で顧客の利便性をしっかりと考えてシステムを構築できていたのに対し、みずほ銀行が何故できていなかったのか気になりました。

 

印象に残ったテーマ③ 疎結合に向いていない処理

みずほ銀行のシステムはSOAによる疎結合をストロングポイントとしたシステムでしたが、今回の一連のシステムでは、一部の障害が次々と周辺システムに波及し、深刻な顧客影響を及ぼしてしまいました。

この点に関する原因と対策の記事が印象的でした。
みずほ銀行では疎結合のサービス間にまたがる「グローバルトランザクション」を実行してしまっていたために、うまくサービス間が疎結合になっておらず、一部の問題が全体に波及してしまったようです。
このような「グローバルトランザクション」が必要なシステムにおいては、アーキテクチャを密結合にするという手段が有用なケースがあり、他行では意図的に密結合なシステムとしているようです。

従来の密結合なシステムを、独立したサービスに分割し、疎結合なシステムを構築する動きが流行していますが、どんな場合でも疎結合なシステムが構築できるわけではないということを知ることができた良い記事でした。

 

まとめ

みずほ銀行のシステム障害を他山の石とせずに、自社システムにも同じような問題が眠っていないかを十分に分析したいと思いました。
他にも、非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。