【書評】日経コンピュータ 2020年6月11日号 〜勘定系の新常態 さらば重厚長大〜
表紙は、「勘定系の新常態 さらば重厚長大」です。
表紙の通り、これからの勘定系システム開発で標準となる技術、開発手法等が紹介されていました。
本書を読むと、「最新のトレンドを勉強しないとまずい。。。」と感じると思います。
数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。
- 印象に残ったテーマ① 既存システムの効率化により、攻めのIT投資の元手を確保
- 印象に残ったテーマ② 内製化によるデジタル変革への対応
- 印象に残ったテーマ③ 銀行勘定系開発へのニューノーマルの適用
- まとめ
印象に残ったテーマ① 既存システムの効率化により、攻めのIT投資の元手を確保
佐川急便を含むSGホールディングスが、年数百億円を費やしていたITの維持管理コストを4割ほど圧縮し、浮いたお金を攻めのIT投資に回している記事が紹介されていました。
また、メガバンクにおいては年間のITコストが1000億にも達し、その7~8割を守りのIT領域に費やしているために、攻めのIT投資が十分に出来ていないという記事が紹介されていました。
これらの記事から、複数の業態において、攻めのITを重視する傾向が強まっており、守りのITコストを如何に早く下げられるかが重要な局面になってきていることが分かります。
そのためには、従来の密結合のアーキテクチャをマイクロサービスにより疎結合にするスキル、クラウド移行するスキルが求められます。
これからの世の中でトレンドとなるスキルを身につける重要性を感じました。
印象に残ったテーマ② 内製化によるデジタル変革への対応
SGホールディングスと三菱UFJフィナンシャルグループが、ベンダーに任せきりになっていたシステム開発を、自分たちの手に戻すために、IT部門社員にコーディングを習得させようとしているという記事が紹介されていました。
ITに詳しくないとデジタル技術を最大限活用したビジネスの推進は難しいと思うため、非常に良い取り組みだと感じました。
一方、システムベンダーからすると、自分たちの担当範囲が減ってしまうため、やり辛くなるリスクがあるかと思います。
こうした情勢の変化をうまく捉えて、システムベンダー側の収益力を落とさないための施策が求められていると感じました。
印象に残ったテーマ③ 銀行勘定系開発へのニューノーマルの適用
勘定系システムのこれからのニューノーマルな姿として、「マイクロサービス」、「パブリッククラウド」、「アジャイル」、「内製化」、「顧客情報のリアルタイム分析」が紹介されていました。
どれも、今までの常識とはかけ離れています。
特にアジャイル開発は銀行勘定系のような大規模システムには向かないと思っていましたが、システムのマイクロサービス化により、システムを疎結合にすることでアジャイルが適用しやすくなるのでしょう。
何にせよ、IT技術者に求められるスキルが大きく変わろうとしているので、取り残されないように勉強が必要だと感じました。
まとめ
コロナによりあらゆる業界の常識が変わりつつある世の中ですが、本書を通じてIT業界はとりわけ変化のスピードが速いと感じました。
他にも、非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。