日経コンピュータ 2021年8月19日号 〜特集 組織の枠超える「共創DX」〜
表紙は、「特集 組織の枠超える「共創DX」 DX銘柄2021の企業に見る新潮流」です。
どのような姿勢でDXに取り組んでいる企業が、経済産業省と東京証券取引所が選定した「DX銘柄2021」に選出されているかが分かりました。
また、アジャイル開発案件契約時の注意点も非常に参考になりました。
数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。
印象に残ったテーマ① SREホールディング、日立製作所がDX銘柄2021のグランプリ獲得
経済産業省と東京証券取引所が選定した「DX銘柄2021」が紹介されていました。
セブンイレブンやJAL、清水建設等が「DX銘柄2021」に選定され、その中で日立製作所と、不動産事業や人工知能(AI)などを手がけるSREホールディングス(旧ソニー不動産)の2社がグランプリに選ばれました。
SREホールディングスは、物件の売り手の集客から最終的な契約業務まで、不動産取引の川上から川下までをカバーしたシステムを当初は自社のために開発していました。
しかし、不動産仲介事業の限られたパイを競合他社と奪い合うのではなく、自社のシステムを外部にも提供することで、不動産業会のデジタル化を進め、市場全体を活性化させる決断を下し、2018年度から自社システムの外販をスタートしました。
このような組織の枠を超え、他社を巻き込んでDXを実行する取り組みが評価され、グランプリに選ばれたようです。
不動産以外の業界にも、こうした動きが広がると良いと思いました。
印象に残ったテーマ② アジャイル開発案件契約時の注意点
今後さらに増えることが見込まれる、アジャイル開発案件契約時の注意点が紹介されていました。
「この機能をつくってくれ」という要求しかないアジャイル開発案件は、特定の機能を導入するという「手段」が「目的」にすり替わっているため注意が必要なようです。
こうした事態を避けるためには、ユーザーや開発ベンダーを巻き込んで、現状の課題を洗い出し、改善要望を集め、どんな状態にどう変えるのかという仮説を立て検証するプロセスが非常に重要です。
この仮説検証プロセスで、「MVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト:検証可能な必要最小限のプロダクト)」を作成します。
このMVPの特定には、プロジェクトの予算の半分程度をつぎ込んでも良いほど重要なもののようですので、アジャイル開発時には注意したいものです。
印象に残ったテーマ③ 業務部門の参画を明記
アジャイル開発では、作成したものと、本来の要望間のギャップを正しく捉え、繰り返し改善することで、そのギャップを小さくしていくことが重要です。
そのため、ギャップを正しく捉えるために、要望を正しく理解した業務部門の参画が欠かせません。
こうした業務部門にプロジェクトに参画してもらうことを、契約書に明記することが重要なようですので、十分に注意したいものです。
まとめ
アジャイル開発は契約段階で成功可否が決まってしまうのではないという印象を受けました。
他にも、非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。