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IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

【書評】早稲田大学ビジネススクール「ビジネスマンの基礎知識としてのMBA入門 」 〜経営者になるための必須知識を紹介〜

MBAは難しいものというイメージは無いでしょうか?

私はそのようなイメージがあり、本書を全部読みきれるか心配していました。
ただ、読み始めてからは、あっという間。
本書の説明はとにかく読みやすく、理解しやすい。

本書を読み終える頃には、一段高い視座で世の中を見ている自分に出会えるはずです。 

 

本の紹介

『仮説思考』の内田和成教授、『見える化』の遠藤功教授ら、早稲田大学ビジネススクール(WBS)の人気教授陣が全12章を分担して本書を執筆しています。
MBAで何を学ぶかの全体感と、経営者・リーダーとして持つべき志を教えてくれる素晴らしい本です。 

 

印象的なポイント① 経営者を目指すための姿勢

経営者を目指すなら、日ごろから経営者に求められる高いレベルを目指して、経営能力を上げるように努力をしていく。これを心掛けないと、経営者になった時、求められる経営能力と実際の能力に開きが出てしまいます。 

経営者になってから自分の能力不足に気づくと地獄ですよね。

経営者は孤独。
誰も助けてくれないはずです。

そうならないために、経営者になる前から能力を伸ばしておく必要があるのですね。

 

周りがどう言おうと、先取りして経営能力をつくり上げる準備をする。経営者を目指す人は、ステイ・フーリッシュになって、一歩を踏み出してください。常識にとらわらず自分のビジョンをきちんとつくって、ライフワークとして経営者になるためのステップを踏んでいってください。
仕事とプライベートは別だというのはあり得ません。経営者は全身全霊をかけて仕事に没頭することが大事です。スティーブ・ジョブズの給料は1ドルでした。彼にとってお金は目的ではなかった。ジョブズのように、仕事を通じて自己実現するくらいに完全燃焼していかないと、これからグローバライゼーションがますます進む中で、企業を成長させていくことなどできません。
経営者を目指す人は、まず日々の仕事の取り組み方を少し変えることから始めてみましょう。例えば課長なら、その課をどうしたいのかというビジョンとロマンを掲げ、ビジョン実現のための戦略とオペレーションに落とし込んでいくのです。事業をリードできる経営者になるには、取締役より数段上の高い能力が必要です。係長や課長のころから、要求されているよりも次元の高いマインドを常に持ち、人がしない努力をして、挑戦的な目標に向かい続ける。つまり、ハングリー、フーリッシュであり続けることが大切です。

経営者になるために、高い目標を持って仕事していきたいと奮い立たされる文章でした。

例えば、ITプロジェクトのマネジメントにおいては、単にQCDを守るだけでなく、「プロジェクトチームをどうしていきたいか」、「顧客との将来の関係性をどうしたいか」、「仕事の幅をどうやって広げっていきたいか」等、設定すべき目標は山のようにあります。

自分自身、単にQCDを守ってリリースするという目標だけでなく、1段高い目標を持ってマネジメントしたいと思いました。

 

印象的なポイント② 「収束」がマネジメントの本質

マネジメントという言葉の意味は一見さまざまですが、全体を貫く芯のようなものがあります。それは「収束」です。
物事は壊れて散らばっていくばかりで、自然に整頓されたり形づくられたりはしません-そのことを物理学では「エントロピー増大の法則」といいますが、仕事をしていく上でも同じことがいえます。放っておけば散らかってしまうものを、片付けていく。何とか、カタをつけて丸く収めていく。それが、「マネジメント」のイメージです。
(中略)
それではマネジメント(収束)とディベロップメント(発散)は、どういう関係にあるのでしょうか。木と植木屋さんの関係を思い浮かべてください。木がどんどん枝葉を伸ばしていく。それがディベロップメントのイメージです。でも生え放題では美しくもないし栄養も分散するから木のためにならない。だから植木屋さんは、剪定して、ちゃんと形を整えてあげる。それがマネジメントのイメージです。 

マネジメントについて様々な本を読んできましたが、ここまで一言で言い表した本には初めて出会いました。

「収束」
本当にマネジメントの本質を捉えていると思います。

ITプロジェクトに関して言うと、品質、進捗、コスト等、様々な面で、何も手たないと、当初の予想とはかけ離れた状態に散り散りになってしまいます。

そうならないために、チェックポイントを設け、目標に収束するように手を打ちます。
ことあるごとに、「自分はちゃんと剪定できているか?」ということを意識してマネジメントしていきたいものです。 

 

印象的なポイント③ リーダーは整合性が取れた戦略を考え続ける必要がある

ここで大事なことは、ジャパネットたかたの将来を予想することではありません。ビジネススクールで議論する時には、成功した理由だけでなく、抱えている課題、予想される課題についても考えていかなくてはいけないということです。
ビジネススクールで学ぶことは、みなさんがリーダーとして実際に意思決定をする時に役立たなくては意味がありません。戦略は整合性が大事だということ。整合性が取れた戦略で成功したとしても、そのまま成長を続けられる保証はないということ。だから次なる戦略を考えていかなければいけないということ。そいうことを忘れないでいただきたいと思います。 

この内容は、ビジネススクールでの授業の受け方だけでなく、実際の仕事にも役立つと思いました。

プロジェクトマネジメントする際に、「将来目指したい姿と整合性が取れた戦略を考える」、「その戦略を実行に移す上での課題」、「戦略を実行に移した後に次に待ち構えているリスク」を考え続ける必要があります。
そして、「そのリスクに対して、次なる戦略を考える」ということを繰り返し続ける必要があります。

常に考え続ける必要があり、大変な仕事です。
経営者になるためには、この大変なサイクルを回し続ける体力、知力が必要なのですね。
普段の仕事から、この点を意識して、経営者になった時に困らないように、スキルを磨いていきたいものです。

まとめ

本書を読んで、MBAについてもっと深く学んでみたいと思いました。
こんなに素晴らしいことが学べるならと、ビジネススクールにも行きたくなる本です。
他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。