【書評】日経コンピュータ 2020年6月25日号 〜アフターコロナに踏み出せ IT部門が率いる、次の危機にも動じない3つのDX〜
表紙は、「アフターコロナに踏み出せ IT部門が率いる、次の危機にも動じない3つのDX」です。
アフターコロナで成長するために、「IT部門の3密を解消する取り組み」や、「スピード感を持ってDXを推進するための取り組み」が紹介されています。
数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。
- 印象に残ったテーマ① 富士通が新サービスで「ご用聞き」脱却を目指す
- 印象に残ったテーマ② これからは手が動かせるエンジニアの重要性が高まる
- 印象に残ったテーマ③ 2020年度版SI要素技術ランキングは「デザイン思考」がトップ
- まとめ
印象に残ったテーマ① 富士通が新サービスで「ご用聞き」脱却を目指す
富士通がIT基盤・運用関連サービス「FUJITSI Hybrid IT Service」の提供を始めた記事が紹介されていました。
事前に仕様の決まったサービスを組み合わせて使うプレフィックス型のサービスです。
今までの富士通は、顧客の要望にきめ細かく対応するSI事業がメインでしたが、追加開発のコストがかさみ、利益率が低くなってしまうという課題があったようです。
このプレフィックス型サービスの導入で、追加開発の発生リスクを下げ、利益率向上を目指します。
IT業界は、どうしても顧客の追加要望により、追加開発が発生し、人件費がかさむという問題点があります。
富士通の取り組みは、事前に決められたサービス体系の範囲で選んでもらうことで、追加開発が発生しなくなり、IT業界の労務改善にもつながりそうな、良い取り組みだと思いました。
IT大手の富士通が成功することで、他社がこの動きを真似するキッカケになれば良いと思います。
印象に残ったテーマ② これからは手が動かせるエンジニアの重要性が高まる
ホームセンター大手の「カインズ」のDXへの取り組みが紹介されていました。
その中でも、DX推進のための人材獲得として、「プロジェクト管理ではなく、実際に手を動かして自らコードを書ける人を重視している」という点が印象的でした。
日本のIT業界の、「昇級するためにはプロジェクトマネジメントを経験しなくてはならない」という傾向を変えることが目標のようです。
確かに、優秀なプログラマが海外に流出してしまっているというニュースは幾度となく見てきました。
カインズのような企業が増えることで、日本におけるプログラマの待遇が改善し、国内に優秀なプログラマが増えると良いと思います。
印象に残ったテーマ③ 2020年度版SI要素技術ランキングは「デザイン思考」がトップ
デザイナーがデザインする時の思考方法を使って、ビジネスや社会の問題を解決するための思考方法である「デザイン思考」が2020年度版SI要素技術ランキングのトップでした。
実務で使ったことはありませんが、確かに最近多くの記事で目にする言葉です。
「デザイン思考が流行っていること」と「前述のカインズのように、プログラマの重要性が高まっていること」は密接に関連していると思います。
各社ともにDX推進を本気で目指す中で、仮説をスピード感を持って形にして、検証することが欠かせなくなってきているのでしょう。
何が流行るか分からない世の中だからこそ、実際に形にするスキルの重要性が高まっているのですね。
プロジェクトマネジメントだけでなく、仮説を形にする能力を高めていく重要性を感じました。
まとめ
「同じような業務はできる限り共通化し、開発コストを抑えるための富士通の考え方」と、「DXの動きの中で、新しいものをスピード感を持って開発するデザイン思考の考え方」という2つの考え方が学べました。
他にも、非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。