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【書評】シバタナオキ「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」 〜仕事に役立つ決算書の読み方を紹介〜

普段から決算書を読む習慣はありますか?

「決算書を読んでも、日々の仕事には役立たないのでは?」、「決算書見てもよく分からない」と思ってしまい、なかなか決算書を継続して読もうという気にならないですよね。
本書は、「決算書を読むとどんなメリットがあるのか?」や「決算書を読むハードルを下げるコツ」を紹介してくれています。

また、著者「シバタナオキ」氏の鮮やかな企業分析を読むと、「自分も筆者のように、企業分析ができるようになりたい!」と思うこと間違い無しです。 

 

本の紹介

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

 

著者「シバタナオキ」氏は、元・楽天株式会社執行役員(2009年まで。当時最年少)で、SearchMan共同創業者。東京大学助教授、スタンフォード大学で客員研究員もされていたことがある、凄い方です。
筆者が楽天勤務時代に身につけ、現在に至るまで続けている決算書の読み方のコツの一端を本書から学ぶことができます。

 

印象的なポイント① 決算書を読む習慣をつけることでビジネスの勘所が身につく

スーツ側の人間は、エンジニアを「ビジネス面で融通の利かない人たち」と見ていたりするのですが、Bさんは決算分析を繰り返しているうちに「ビジネスにも理解のある頼れるエンジニア」だと認識されるようになったのです。別の見方をすれば、Bさんは決算を読むことでビジネスの勘所を学び、サービス開発だけでなく事業そのものをコントロールできるエンジニアに近づいたのだといえるでしょう。

シリコンバレーでは、日々新しいサービスが生まれています。そして、誰もが画期的なテクノロジーとビジネスモデルで既存産業をDisrupt(破壊)してやろうともくろんでいます。そんな「成長こそすべて」な環境で働くには、エンジニアもビジネスに対する感度を高く持っていなければなりません。

Bさんの場合、この高度なビジネスセンスを、決算を読み続けることで身につけたのです。

「決算を読む習慣をつけるとどんなメリットがあるのか?」気になりますよね。
企業のサービス開発は利益を目的として行われること考えると、「このサービスを開発すると、どれだけ売り上げに貢献できるだろう」、「このサービスはいくらぐらいで開発するのが妥当だろう」という視点が必要です。

こういった疑問にエンジニア自身が答えを持つために、決算書が使えるということですね。
「世の中の気になるサービスが会社の業績に与えたインパクト」や「業績が良い会社の好調要因は何か?」といったことを意識して、決算書を読む習慣を是非とも身につけたいものです。

印象的なポイント② 筆者の鮮やかな決算分析・企業間の比較

決算を上手に読むための10カ条の中に次の項目があります。

9.1社だけではなく、類似企業の決算も分析・比較する

10.類似企業間の違いを説明できるようになる

本書の中で5つのの分野(EC、FinTech、広告、個人課金、携帯キャリア)を題材として、筆者の決算書の読み方が紹介されています。
いずれの分野についても、筆者の分析能力の高さに舌を巻きました。

例えば、携帯キャリア(ドコモ、KDDIソフトバンク)同士の比較だけであれば、よくありそうですが、さらに、各社がMVNOに力を入れている理由まで分析しています。

また、国内企業同士の比較だけに止まらず、「食べログ」とアメリカのレビューサイト「Yelp」と比較することで「食べログの今後の成長可能性」を分析したり、日本の「AbemaTV」とアメリカの「Netflix」を比較したりと、海外の情報まで含めた分析を繰り広げています。
筆者の分析能力の高さに感動しました。

また、本書の題名には反しますが、やっぱり英語が完璧にできると情報収集の質も上がるため、英語の必要性を感じました。

 

印象的なポイント③ 成長し続ける企業であり続けるために大事なこと

決算書の読み方は関係ありませんが、Amazonが何故成長し続けられるのかについて、Amazonの「株主へのレター」が紹介されています。

意思決定には絶対に後戻りできない「タイプ1の決断」と、そうでもない「タイプ2の決断」の2種類があり、後者に関しては現場に権限委任して、スピード感を持って決めていくべきだとかいてあります。失敗したらやり直せばいい、ということです。
 中略
本当に後戻りできない意思決定というのは、数としてはさほど多くありません。しかし、会社が大きくなると些細な(というと失礼かもしれませんが)意思決定でさえも、二度と後戻りができない意思決定と同じように、慎重に議論されるようになります。それこそが「大企業病」の元凶であり、それを避けていきたいと書いてあります。
巨大でありながら、新しい発明をし続ける会社でありたい、というジェフ・ベゾスCEOのメッセージが非常によく伝わるレターです。

大企業でありながら、ECだけでなく、AWS、AmazonEcho等、様々なチャンレンジを物凄いスピードで続けられているのは、ジェフ・ベゾスCEOのスタンスによるものが大きいのですね。
何でもかんでも経営者の承認が必要な、多くの日本企業とは真逆のスタンスですね。
会社が成長し続けるためには、会社のトップのスタンスが大事だと思いました。

まとめ

筆者の企業分析を見ていると、決算書からこんなことまで分かるのかと驚かされます。
とにかく、1社15分程度と時間を決めて、多くの情報に触れる癖を付けたいと思わされる本です。
他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。 

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣