継続力

IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

【書評】ハーバード・ビジネス・レビュー 2020年 7月号  〜リーダーという仕事〜

表紙は、「答えのない時代をともに切り拓く リーダーという仕事」です。

昔の日本のように、アメリカという先駆者(=答え)がいて、アメリカの真似をしていれば上手くいく時代は終わりました。
現代のような、リーダー自身も答えが分からない世の中において、「リーダーはどのような役割を果たすべきか?」というのが今回のテーマです。

数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。

 

 

印象に残ったテーマ① 経営者の3つの重要な役割

リーダーの最たる例として、経営者の役割を次のように説明しています。 

①会社の方向性を示す。
②決めるべきことを決めるべきタイミングで決定し、その結果責任を負う。
③人事:誰に何を委ねるかを決める。

 

特に、”結果責任を負う”というのが印象的でした。

自分で決めないのは、失敗した時に責任を問われるのを避けたいからという場合も多いのです。でも失敗した時には自分できちんと後始末をすればいいし、そこから学べば同じような失敗をしなくなります。
ソネット時代の投資案件の中には、エムスリーのように大きく成功したものもありましたが、その裏では失敗もありました。しかし、失敗した投資案件の後処理をきちんとやる中で、多くを学ぶことができました。

結果責任は上司に任せれば良いや」という軽い意識で、深く考えずに適当にやってしまうと学ぶことも少ないですよね。
一方、「結果責任を自分が負うのだからしっかり考えなきゃ」という気持ちで真剣に取り組めば、仮に失敗しても、失敗から学び、次は同じ過ちを起こさなくなるのでしょう。
結果責任を自分が負う」という意識を持って、取り組むのが大事なのですね。
ソニーの社長でも、過去には失敗を経験しているということを知り、「失敗無くして成功は無いんだな」と改めて思いました。

 

印象に残ったテーマ② 社長の能力を組織の限界にしないためには、誰が決めるべきかを意識することが重要

私の限界を組織の限界にしないためには、私が決めるべきこと以外は、経営チームのメンバーや各事業のリーダーに任せること、そして、社員には挑戦の機会を多く与えて、失敗から素早く学習できる組織にしていくことです。
なぜなら、失敗したことから学ぶ人は、「失敗という経験値」によってバリューが上がるからです。そのためには、「失敗を恐れず、失敗から学ぶ」という企業文化の醸成が不可欠で、その環境づくりはマネジメントの役目です。
それを実行するために、パーパスを設定して大きな方向性を示し、任せるべき人に任せ、決めるべきタイミングで決めるようにさせています。

失敗してもやり直せる、チャレンジできる組織風土を作ることが重要ですね。
ソニーほどの大企業が一時の停滞を脱却し、成長できる企業に返り咲いたのは、トップのこのような改革があったからなのでしょう。
良い経営者に恵まれた会社で働く社員は幸せだと思います。

また、誰が「結果責任を負うべきか」ということを意識して、何でもかんでも上司に責任を押し付けるのではなく、「自分が結果責任を負うべきでは無いか?」ということを意識することが重要であることも学びました。

 

印象に残ったテーマ③ 判断力を鍛えるためには傾聴スキルが欠かせない

優れた判断力を構成する6つの基本要素(学習、信頼、経験、中庸、選択肢、推敲)を磨くためのコツがいくつか紹介されていますので、必見です。
その中でも、BPのCFOボーダフォンの副会長等、様々な輝かしいキャリアを歩んできた「ジョン・ブキャナン」氏の話が印象に残りました。  

ブキャナンと出会った瞬間から交流を重ねる中で、ずっと印象に残っているのは、目の前にいるのが筆者であれ誰であれ、意識を逸らさずに向き合う姿勢だ。彼ほどの実績を積んでいれば、とっくに人の言うことに耳を傾けなくなり、尊大に振る舞うようになってもおかしくない。
聞き上手なだけではない。人があえて口に出さないようなことを聞き出すのもうまい。
彼が投げかける問いは、興味深い回答を引き出すために組み立てられたものだ。

会社で多少偉くなると、部下の話を全く聞かなくなる人っていますよね。
ただ、真に凄い人は、人から得られる情報の重要性が分かっているため、人の話をしっかりと聞く意識を持ち続けられるのでしょう。
傾聴スキルを意識的に伸ばしていく重要性を感じました。

 

まとめ

「すでにリーダーを担っている人」、「これからリーダーを担う人」のどちらにも役立つ記事でした。 
非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。