【書評】國貞克則「ストーリーでわかる財務3表超入門」 〜財務3表の成り立ちから学ぶ方法を紹介〜
財務3表と聞くと、難しいイメージが無いでしょうか?
本書は、新人経営者あかねが苦労しながら店を切り盛りしていく中で、財務知識の必要性を痛感し、学んでいく、というストーリー仕立てになっています。
お小遣い帳のような単純な収支計算書から始まり、徐々にレベルアップし、財務3表の勉強へとステップアップしていきます。
話のスピード感がちょうど良く、きっと財務3表が理解できると思います。
また、本書には財務3表だけでなく、「法人とは?」、「資本主義とは?」、「会社は誰のもの?」等の、財務以外の知識もふんだんに盛り込まれています。
財務以外の面でも勉強になること間違い無しです。
- 本の紹介
- 印象的なポイント① BSとPLをつくるために会社のすべての伝票は複式簿記によって整理されている
- 印象的なポイント② 経営者は決して会社を潰してはならない
- 印象的なポイント③ 自分の会社の利益しか考えていない会社は品格がない
- まとめ
本の紹介
著者「國貞克則」氏は、東北大学工学部卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント輸出、人事部などを経て、米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得されている方です。
中小企業の経営指導や大手企業の管理職教育にあたる経営コンサルタントです。
本書は、財務3表の成り立ちから学ぶことができ、非常に分かりやすい内容に仕上がっています。
ストーリー仕立てになっているので、堅い文章は苦手という方にもオススメです。
印象的なポイント① BSとPLをつくるために会社のすべての伝票は複式簿記によって整理されている
複式簿記の基本はすべての取引を2つの視点(複式)から眺めて、それを『資産』『負債』『純資産』『費用』『収益(売上)』の5つに分類して帳簿に記帳していく。その集大成されたものが試算表で、その試算表を2つに分けるとBSとPLになる。複式簿記の基本はそれだけだ。逆に言えば、BSとPLをつくるために会社のすべての伝票は複式簿記によって整理されているんだ
いままで関連性が分からなかったPLとBSですが、実は「複式簿記で記帳された試算表を2つに分けただけ」であると考えると繋がりが見えてスッキリしますね。
すべての取引を2つの視点で眺めて分類する「複式簿記」の考え方は普通は難しいと感じると思いますが、本書では複式簿記が必要になった背景から説明されており、非常に分かりやすいです。
お小遣い帳のような収支計算書から、段階を追って、BS、PLの成り立ちが説明されており、会計の全体感が分かる本でした。
会計の細かい知識の勉強を始める前に、まずは本書で全体感を学んでから、詳細な部分を勉強することをお勧めします。
印象的なポイント② 経営者は決して会社を潰してはならない
会社の存続という意味では赤字か黒字かは問題では無い。会社はキャッシュ(現金)が続かなくなったら終わりなのだ。
倒産したら多くの関係者に迷惑をかける。資本を出してくれている出資者やお金を貸してくれている債権者の期待を裏切り、彼らのお金をドブに捨てたような形にしてしまう。従業員とその家族を路頭に迷わせることにもなる。取引先にもお客様にも迷惑がかかる。経営者は決して会社を潰してはならない。
経営者の責任の重さを感じさせられる文章ですね。
このぐらいの覚悟が経営者には必要なんだと痛感されました。
やはり、一社員と経営者では背負っているもののレベルが違いすぎました。
こういう覚悟が経営者には求められているんだということを知るためにも、経営者を目指している人には是非本書を読んでもらいたいです。
また、経営者になるつもりがなくても、様々な名言が本書には飛び出しますので、一般社員の方々にもオススメです。
印象的なポイント③ 自分の会社の利益しか考えていない会社は品格がない
我々一人ひとりの人間は社会の一員だ。会社も法律で定められた人、つまり社会の一員だ。我々は社会から大きな恩恵を受けてこの社会に存在している。だから、社会の一員である我々は社会に貢献する義務がある。それは会社も同じだ。お金を稼ぐことしか考えていない人ってさもしいよな。会社も同じだ。自分の会社の利益しか考えていない会社って品格がないよな。つまらない会社だよな
非常に熱い文章でした。
経営を成功させ、生み出した利益をどう使うかで会社の真価が問われます。
自分のことだけを考えるような会社には勤めたくないですよね。
また、社員一人一人も社会貢献を意識して、一段高い視座で日々の仕事を行う必要があるのでしょう。
このことが意識できていると、きっと仕事が今よりも楽しくなると思います。
まとめ
主人公あかねの成長する姿が気になって、あっという間に読み終わりました。
普通に働いていても気にしない「法人とは?」、「掛売りとは?」等、財務以外の面でも非常に勉強になりました。
他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。