【書評】【洋書】ルイス・サッカー（Louis Sachar）「穴 Holes」
本書は、過去に多数の賞を受賞した傑作です。
不運にも穴を掘る懲罰を受けた主人公の話ですが、
- 穴掘りや周囲の少年達との関わりの中で、心身ともに成長していく姿
- 主人公の家系に代々引き継がれてきた運命が、物語の中で回収されていくストーリー展開
等、とてもワクワクしながら読むことができた作品でした。
洋書多読初心者にオススメな本としても有名な本です。
絵本等の短い話に飽きてきたと感じた時に是非チャレンジして欲しい本です。
本の紹介
著者「ルイス・サッカー（Louis Sachar）」氏は、アメリカの児童文学作家です。
本書「Holes」は、1998年に初版が出版され、同年の全米図書賞児童文学部門、1999年にはニューベリー賞を受賞した作品です。
本書「Holes」は、主人公スタンリーが盗みを働いたと間違われて、穴掘りの懲罰を受けるというところから始まります。
そして、穴掘りや周囲の少年達との関わりの中で、心身ともに成長していき、最終的には冒険譚にまで進展します。
きっとワクワクしながら読めるはずです。
洋書としての読みやすさ
単語数は「46,938」語です。
洋書多読初心者にオススメの本としてよく紹介される本だけあって、とても読み易いです。
ただし、過去と現在が交互に語られるため、どっちの話をしているかわからなくなるかもしれません。
途中で多少わからないところがあっても気にせず、一度一通り読んで、あらすじを掴んでから、２周目にじっくりと読むという方法も良いと思います。
おすすめポイント
- 主人公が成長していく姿を読むことで、前向きな気持ちになれる本です。
- 風景の描写がとても鮮やかです。
物語が面白いだけではなく、風景はこういう風に表現するんだ等と、表現自体も学ぶことの多い本です。
気になった表現
①夢の実現に向けて頑張ってみようと思わされる言葉
I’m not saying it’s going to be easy.
Nothing in life is easy.
But that’s no reason to give up.
You’ll be surprised what you can accomplish if you set your mind to it.
After all,you only have one life,so you should try to make the most of it.
→「簡単だ」とは言っていないよ。
人生で簡単なことなんてないんだ。
ただ、諦める理由は無いんだ。
何か決心することで達成できることに君はきっと驚くよ。
結局、人生は一度きりなんだから、最大限チャレンジしてみるべきなんだ。
他の少年の将来の夢を馬鹿にした、ある少年に対して、グリーン・レイク・キャンプの職員が言ったセリフです。
夢を力強く後押ししてくれる言葉ですね。
本書には、この言葉の他にも、頑張ることで報われる話が多く登場します。
②手を抜いてはダメだと思わされる言葉
If Zero could dig all day and still have the strength to learn, then he should have been able to dig all day and still have the strength to teach.
→ゼロが一日中穴を掘って、まだ勉強する元気があるなら、自分も一日中掘って、まだ教える力があったはずだ。
主人公スタンリーが、グリーン・レイク・キャンプの少年ゼロに勉強を教える代わりに、穴掘りをしてもらっていたことがバレてしまうというトラブルが発生した時に、主人公が感じた後悔に関する描写です。
少しでも手を抜いたことが原因でトラブルが発生すると、後悔しますよね。
後悔先に立たずです。
後悔することが無いよう、仕事で妥協しないようにしたいものです。
③穴掘りの表面的な目的
If you take a bad boy and make him dig a hole every day in the hot sun, it will turn him into a good boy.
→悪い少年に暑い日差しの中、毎日穴掘りをさせれば、彼を良い少年に変えられるでしょう。
グリーン・レイク・キャンプで少年達に穴掘りをさせる表面的な理由です。
実際は、こんな理由では無いことがストーリーが進むにつれて明らかになります。
なぜ穴掘りさせられているのか、本書の中から理由を見つけてみてください。
まとめ
主人公スタンリーが、成長していく姿を通じて前向きになれる本です。
最後にはハッピーエンドが待っているので、気楽な気持ちで読んでみてください。
