【書評】日経コンピュータ 2020年1月23日号 〜SDGsテック 社会課題はビジネスチャンス、1000兆円市場を狙え〜
表紙は、「SDGsテック 社会課題はビジネスチャンス、1000兆円市場を狙え」です。
2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)に対するITによる取り組みが紹介されていました。
他に、ITを活用した高齢者への支援等も取り上げられていました。
現在の社会課題とITによる取り組みが一気に学べるため必見です。
数ある記事の中から、私が印象に残ったテーマを紹介します。
- 印象に残ったテーマ① SDGsには大きなビジネスチャンスが眠っている
- 印象に残ったテーマ② IT活用で高齢者の健康寿命、職業寿命、資産寿命を延ばす
- 印象に残ったテーマ③ セブン銀行はATMに力をいれている
- まとめ
印象に残ったテーマ① SDGsには大きなビジネスチャンスが眠っている
SDGsに関して以下の内容が紹介されていました。
- SDGsの17個のゴールそれぞれについて、70~80兆円規模の経済効果があり、合計1000兆円ほどの市場規模がある。
- SDGsに取り組まない企業に対する投資は今後減少していく可能性がある。
- 日本IT大手企業はSDGsへの取り組みが遅れているが、NEC等が徐々に取り組みを始めている。
SDGsは、2030年までに実現を目指す目標であり、今から10年後です。
SDGsの経済効果を各社がどれだけ享受できるかで、10年後の各社の規模は変わってくるのでしょう。
今後10年間の各社の中核事業の1つとしてSDGsが位置付けられそうです。
本書の中で、「節水への取り組み」や「廃棄場での有害物質削減」等の、SDGsに対するベンチャーの取り組みが多く紹介されていました。
「IT技術を使えばこんなこともできる世の中になっているのか」と感じる例が多く紹介されているので、是非読んでみてください。
印象に残ったテーマ② IT活用で高齢者の健康寿命、職業寿命、資産寿命を延ばす
「AIによる病気の早期発見や、IT技術を使った高齢者のスキルの見える化、高齢者の健康状態等を考慮した適切な資産運用」に関する記事が掲載されていました。
この記事を読んで、高齢者の職業寿命を延ばすことが、将来的な労働人口の減少に対する1つの解決策になると思いました。
昨今の日本では、若年層の減少により、労働人口が減り、国力が落ちる問題がよく取り上げられています。
この対策として、移民を受け入れる等の施策により若年層の労働人口を増やす取り組み進められようとしています。
しかし、ITをうまく活用すれば、健康な高齢者の数を増やすことができます。
その上で、経験豊富な高齢者のスキルを見える化すれば、高齢者の優れたスキルを眠らせたままにせずに有効活用することができそうです。
これにより、若年層を増やさなくても、労働人口は維持できるでしょう。
今後高齢者になる現役世代の会社員も、「高齢者になった時まで働くことを前提とした生き方」を考えておく必要があると感じました。
印象に残ったテーマ③ セブン銀行はATMに力をいれている
「セブン銀行が2024年までに全2万5000台のATMを新型機に置き換える」という記事が掲載されていました。
昨今、各銀行では、「ATMのメンテナンス費が大きな負担となっている点」や、「キャッシュレス化によりATMの利用機会の減少している点」を問題として捉えています。
これにより、各銀行では、他行とATMを共同利用する等して、ATMの台数を削減する方針で動いています。
しかし、この記事の通り、セブン銀行は他行とは全く逆の動きをしています。
この動きは、セブン銀行がATMを「単なるお金を引き出す機械」とは考えていないことをハッキリと示していると思います。
セブン銀行はATMを顧客とつながる接点として捉えており、顧客とつながるためのサービス(高齢者の見守りサービスや民泊のチェックイン等)を提供するために、最大限ATMを活用していく予定なのでしょう。
この戦略が成功を収めるかどうか、10年後のセブン銀行がどうなっているか気になります。
まとめ
SDGsや高齢者への取り組み等、ITには社会問題を解決する力があることを感じる記事が多く掲載されていました。
IT事業に従事しているからには、何か社会問題を解決するようなプロジェクトに関わりたいと思いました。
他にも、非常に勉強になることが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。