継続力

IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

【書評】清水久三子「プロの資料作成力」 〜資料作成時にすべきことを紹介〜

「資料作成は得意ですか?」


この質問に自身を持って、「はい」と言える方は羨ましい限りです。

が、資料作成に悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。

 

世の中には、資料作成の小手先のテクニックを書いている本はたくさんありますが、本書はそういった本とは一線を画します。
本書は、資料作成時にすべきことの全体感を教えてくれます。

 

まずは、本書を読んで資料作成の全体感を理解した上で、細かいテクニックを他の本で学ぶというのがオススメです。 

 

本の紹介

プロの資料作成力

プロの資料作成力

 

著者「清水久三子」氏は、日本IBMグローバル・ビジネス・サービス事業部、ラーニング&ナレッジ部門リーダを務められた方です。
1500人以上のコンサルタントの指導育成経験を持ち、「プロを育てるプロ」として知られています。
コンサルタントのような資料作成のプロに指導している筆者の書いた本ですので、
本書を読むことで、どの会社でも通じる「資料作成力」が身につくと思います。

 

印象的なポイント① 「わかる」「伝わる」資料の条件

P15

「わかりやすい」「相手に伝わる」資料は、この2つの「わかる」について、とてもわかりやすい状態である必要があります。
まず、「意味を理解」してもらうためには、情報の量と質が適切で脳の本棚にちゃんと収めやすいような塊になっており、適切なインデックスが付いて引き出しやすい状態にする必要があります。
加えて「意義を納得」してもらうには、まず内容に論理的なエラーがないことが必要です。しかし、ただロジックが通っているだけでは不十分で、感情的にもそれが受け入れられるかどうかがキーになります。
ロジックだけを訴えていてもそれだけで人は納得しませんし、動くこともありません。頭で理解されるだけではなく感情的にも受け入れてもらう資料を作成することが大切なのです。

相手に伝わるまでに大きく分けて二段階のステップがあります。


資料が見やすくなるようなフレームワークを使うのか、ロジックの確からしさを検証するためのフレームワークを使うのか。各段階で意識することが違います。

 

資料作成時に、どちらのステップの作業をしているのか意識することが重要です。

 

 

印象的なポイント② 「わかる」「伝わる」資料を短時間で作成するためにすべきこと

P24

まず、「何のために」「誰に」「何を」「どうやって」という4つのフレームワークで、作成しようとしている資料の概要を押さえます。
最初に【Step1】で「何のために」という「目的(=ゴール)」をセットします。次に【Step2】で「誰に」、すなわち「ターゲット」について徹底的に考えます。そして、【Step3】では、そのターゲットに対して、「何を」伝えるのか、相手に対する「メッセージ」を作り上げます。
(中略)
ここまで終えたところで、次に具体的に資料にする「どうやって」に入ります。【Step4】では、資料の「構成」を考え、【Step5】では、「ビジュアル化」する、すなわち資料という見える形に落とし込みます。

資料作成のステップが体系的に整理されていて、非常に勉強になりました。
まずは、「何のために」「誰に」「何を」を明確にした上で、具体的な伝え方を考える必要があるということですね。


自分ではあまり資料を作る機会がなく、主にレビューしかしない人においても、これらのステップを理解しておくことが必要だと思います。
レビュー時は、レビュー対象の資料が、これらのステップの内容を満たしているかを順番に確認していけば、効率的に、質の高いレビューができると思います。

 

P105

ビジネスでは、書き出す前にしっかり思考するプロセスが不可欠です。何が重要なのか。何を伝えたいのか。どこを強調したいのか。そのためにどいう組み立てにして、どこは削除するのか、あるいは、まとめて抽象度を高くして書くのか。こうした点をしっかり考えてからパソコンでの作成作業を行うことです。それによって、実際の作業時間は短くできますし、修正も少なくてすみます。

いきなりパソコンで資料の中身を作成し始める前に、まずは資料作成の方針を考えます。
私自身、最初に資料作成の方針を考えるようにしたことで、短時間でそれなりの質の資料が作れるようになりました。 

ある程度、社会人経験が長くなれば自然に分かることのような気もしますが、忙しくて焦っているときこそ、このことを忘れないようにしたいものです。 

 

印象的なポイント③ 「わかる」「伝わる」資料を作る力を伸ばす方法

P179

大前研一氏はかつて日立製作所から外資コンサルティング会社マッキンゼーに転職した際、コンサルティングノウハウを学びとろうと数ヶ月間土日とアフター5はずっと社内の資料室に籠り、同社がそれまでに手がけたデータを収めたマイクロフィッシュ(印刷物を縮小複写したマイクロフィルムのカード)を読み込んだそうです。この経験から見る目が養われたとおっしゃっています。料理でが肥えると言いますが、資料もまた見れば見るほど目が肥えてきますから、積極的に他の方が作った資料をみるようにするとよいと思います。

大前研一氏の話はすごいですね。
コンサルティングファームでもないと、社内にそこまで質の高い資料が無いかもしれませんが、少なくとも自社内ではそれなりにわかりやす資料はあるはずです。
他の人の資料を見る機会をできる限りとり、前述の5つのステップを意識しながら、資料の優れた点をストックしていければ、資料作成力がどんどん上がっていくと思います。


「資料から単に情報を得る」だけでなく、「資料作成力に結びつくように、資料自体の優れた点にも目を向けること」が重要です。
今日から資料を見る目が変わりそうです。

 

まとめ

本書を読むと、資料作成に対するモチベーションが上がります。
仕事における資料作成の進め方も効率的になるため、生産性自体も上がると思います。 

他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

プロの資料作成力

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