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【書評】井賀泰代「生産性」 〜あなたの会社の生産性向上は間違っている!?本来目指すべき生産性向上を紹介〜

  • 働き方改革」の影響で、残業規制等、会社のルールが色々と増えていませんか?
  • ルールが増えたことで、生産性が上がったと感じたことはあるでしょうか?
  • 無駄なしがらみが増えたことで、逆に生産性が落ちたと感じたこともあるのではないでしょうか?


本書では、残業規制等の場当たり的な生産性向上ではなく、本来目指すべき生産性向上の方法を紹介しています。 

 

本の紹介 

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

 著者「井賀泰代」氏は、マッキンゼーにおいて、人材育成、採用マネージャまで務めた方です。
著書「採用基準」が有名な方ですね。
本書では、「働き方改革」において本来すべきことは残業時間の抑制ではなく、別のことであることを示してくれています。また、マッキンゼー流の会議の進め方も紹介されていて参考になります。

 

印象的なポイント① 量ではなく、質の改善により生産性を向上させる

質の改善による生産性向上

P33

生産性をあげるには、「成果を上げる」と「投入資源量を減らす」というふたつの方法があると理解したうえで、安易に投入資源量を増やさないこと、そして、コスト削減だけでなく付加価値を上げる方法も併せて考えることが必要なのです。

P72

会議であれ残業であれ、必要なのは量のコントロールではなく、その質をいかに高めるかという発想です。 

あなたの会社は、残業時間の抑制等の量による生産性向上ではなく、質による生産性向上の取り組みをしていますか?
そもそも、何をもって、質が上がったと判断するか、基準が明確になっていなかったりしないでしょうか?


生産性をあげることを考える場合には、まずには、仕事の質を定義することが必要です。
仕事の質は、当然、仕事の種類ごとに異なるはずなので、個々人で考える必要があります。

また、場合によっては、メンバー全員で知恵を出し合って考える必要もあるかもしれません。


質が定義できたら、その質を高める活動をする。

同じ質の仕事であれば、より短時間で完成させる。といった試行錯誤が必要です。

 

会議の質の向上方法

P209

大半の会議の達成目標は次の五つのどれかです。
①決断すること
②洗い出しすること(リストを作ること)
③情報共有すること
④合意すること=説得すること=納得してもらうこと
⑤段取りや役割分担など、ネクストステップを決めること

大抵どの仕事でもある、会議を例に、質を測る基準となる、達成目標の説明をしてくれています。
毎日のようにある会議ひとつひとつに対して、達成目標を決めるのって大変ですよね。
ただ、事前に達成目標を決めていないと、会議の良し悪しが評価できませんので、事前に達成目標を決めておくことが重要ということですね。

 

P219

ベンチャー企業やオーナー企業の意思決定が速いのは、彼らが自分なりの意思決定のロジックをもっているからです。ロジックがあるから、部下に情報を集めさせればすぐに意思決定ができるのです。

部下の資料を確認した際に、情報が集まりきらずに結論が出せないことはないでしょうか?
そういった場合への対策として、決定ロジックを共有しておくことが重要です。
ロジックさえ共有できていれば、もう一度会議しなくても、仕事を進められます。

 

印象的なポイント② チームの生産性向上を意識するべき

P133−134

部下のスキルアップが部門の成果を上げるための有効な手段だと認識されれば、「忙しくて部下の育成に手が回らない」のではなく、「忙しいから早く部下を育成しなければ!」へと意識を変えることができます(図表24)。仕事の成果は、自分や部下がより長い時間働くことで上げるものではなく、チームの生産性を高めることで実現するものなのです。

自分自身も含め、人はすぐには成長しないですよね。。。
ただ、自分が手を動かして仕事をこなしていては、一向に他のメンバーが成長できません。


長い目でみて、チームの生産性を向上させるために、部下の成長を支援する活動が必要ということですね。
忙しくて、つい、手を出してしまいそうになった時に、思い出したい言葉です。

 

印象的なポイント③ 個人の成長において、異動と役割の理解が必要

成長と異動の関係

P96

誰であれ、初めて社会人になった直後や、新しい仕事にチャレンジすることとなった当初の何年間かは、成長スピードが速くなります。しかし数年がたって仕事に慣れてくると、成長スピードは次第に鈍化します。
そこで多くの企業では、成長が鈍化し始める直前に人事異動を行い、新たな成長機会を与えて成長カーブを維持しようとします。そして、その後また数年たち仕事に慣れ始めると、異動が行われる-これが一般的な異動と成長カーブの関係です。

日々、自分の成長を実感できていますか?
実感できていないのであれば、異動すべきタイミングがきているのかもしれません。


同じところで仕事を続けるのは、ストレス無く心地よいものですが、いつかは異動する時がくるはずです。

人事の異動判断を待つのではなく、自分から志願して異動希望を出す姿勢を持ちたいものです。
その姿勢が、急激な成長曲線の維持につながります。

 

マネージャの役割

P164

マネージャの役割とは、
・どれも正解でどれも不正解である複数の選択肢からどれかを選ぶこと
・選んだ選択肢に伴う問題をあらかじめ想定し、備えておくこと

P165

「完全な正解など存在しない。リスクをとって決断するのがマネージャの仕事なのだ」

マネージャの役割がここまで明記されている本は初めて読みました。
試験ではないのだから、仕事に完全な正解など無いんですよね。


このことを理解して、自分なりの判断ロジックを組み立てた上で決断する。
選択しなかった事項については、今後発生しうるリスクを洗い出し、事前に備えておくことが重要です。

 

まとめ

これからマネージャになり、チームとしての生産性を高めなければならない人に、ぜひ読んで欲しい本だと思いました。
チームの生産性向上は大変ですが、回り回って、自分の成長や生活の質改善にもつながるので、頑張りたいものです。 

他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの