継続力

IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

【書評】小杉俊哉「起業家のように企業で働く」 〜会社勤めを楽しくする方法を紹介〜

本書は、「君はただ「会社」から言われたとおりに働き続けるのか?」という副題がついています。
私はこのタイトルを見た時に、胸にグサッと来ました。


入社時のモチベーションを失い、日々目の前の仕事を漫然とこなしていないかと。

本書は、受け身になってしまっている姿勢を、攻めの姿勢に変えてくれます。


また、本書は「社会人5年目の教科書」とも呼ばれていますが、5年目といわず、全ての社会人の為になることが書いてあります。
本書に書かれていることを意識しているかどうかで、数年後の自分の姿は全く違うものになること間違い無しです。 

 

本の紹介

起業家のように企業で働く

起業家のように企業で働く

 

 著者「小杉俊哉氏」は、早稲田大学法学部卒業後、NEC入社。その後、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程終了、マッキンゼーユニデン、アップルと名だたる企業で勤めてきました。
そして、慶應義塾大学で「リーダーシップ論」の講師をされている凄い方です。
本書は、そんな「小杉俊哉氏」が考える、「会社で働くメリット」と、「攻めの姿勢で働くための方法」を教えてくれています。

 

印象的なポイント① 会社で活き活きと働く方法

P22

キャリア・ビジョンを持つと、日々の仕事のやり方がそのビジョンを実現することに繋がっていく。

やるべきことや、時間の使い方が明確に見えてくるからだ。自分の求める働き方をしている人は、このビジョンを強烈に意識している人が多いのだ。 

P49

組織のビジョンと個人のビジョンとの共通点を見出すことが、受け身、やらされ感を持たずに仕事に取り組むためのカギとなる。

 まずは個人のキャリアビジョンを設定することが重要ということですね。
そうすることで、振られた仕事を漫然とこなすのではなく、自分のキャリアに繋がるような形で仕事をこなしていく。
さらには、自分のキャリアビジョンに繋がるような仕事を率先して取りに行くということができるようになります。


例えば、プロジェクトマネージャの第一人者になろうと思ったら、作業系のタスクだけを淡々とこなしていてもキャリアには結びつきません。
それよりも、要員のタスク調整を適切に行い、スキルのマッチした要員に作業系のタスクを実施させることの方が、プロジェクトマネージャが本来やるべきタスクであると言えると思います。


このように、同じタスクであっても、自分が目指すキャリアビジョンによって、やるべきことが違います。

このため、キャリアビジョンを意識して、自分が本来時間を使うべきことは何かを意識することが重要です。
自分の成長に繋がらないようなことに時間を使ってはいけません。

 

P23

ワーク・ライフ・バランスという言葉に逆に縛られてしまう人が多いように感じている。

ちなみに、起業家にはそのような言葉はない。毎日18時間、1年に360日ほど働くなどということは良くある話だが、メンタルの病気になってしまったりするかというと、これがならない。なぜなら、人からやらされているからではなく、やりたくてやっているからだ。

彼らは、ワーク・ライフ・インテグレーションなのだ。プライベートも仕事も同じ人間のやることであり、実際には、プライベートの活動やネットワークが仕事のヒントになったり、直接的に仕事に繋がることさえままある。また、仕事は生活の糧や苦しみの対価ではなく、自己実現や自己成長、世の中への貢献の手段としても機能しているはずだし、そこに楽しみや喜びや遊びの要素だって見つけることはいくらでもできる。だから、ワークとライフをきっちり分離してしまうのではなく、その接点をもち両方を有機的に結びつけて、人生を有意義にしようとする姿勢のほうがずっと人生が充実するのではないかと考えるのだけど、君はどう思うだろうか?

 ワーク・ライフ・インテグレーションの考え方は新鮮でした。


プライベートの趣味は、例えば「サッカーが上手くなりたい」、「筋肉質になりたい」等、自分がなりたい姿があって、そのために楽しんで努力できていることが多々あると思います。
これが、仕事になると、なぜ楽しめないのでしょうか?


ワーク・ライフ・バランスという表現で、明確に仕事とプライベートを区別してしまっている点に問題があるということですね。
ワーク・ライフ・インテグレーションは、プライベートと仕事の区別を無くす。

そして、自己実現等に繋がるように仕事に取り組めば、楽しむことができるという考え方だと思います。


例えば、個人のキャリアビジョンが、「今の仕事の中で良い成果を出す」という低いレベルではなく、「一生を通じて自分はどういう人間になりたいか?」というレベルのビジョンを持つことができたとします。
そして、この個人のキャリアビジョンと組織のビジョンの共通点を見出すことができれば、日々の仕事を自己実現のための手段として楽しめます。

 

印象的なポイント② 自分のやりたいことを探す方法

それでは、個人のキャリアビジョンをどのように描けばよいのでしょうか?

P52

ポジティブ・アプローチは、このような原因の特定をすることはしない。代わりに、組織の強み・価値を発見することから始める。自分たちの経験から、どのような時に達成感があり、一体感が醸成され、やる気に満ちていたかを共有する。 

本書では、組織のビジョンを定める方法としてポジティブ・アプローチが説明されていますが、これは個人のキャリアビジョンを描く際にも使えると思いました。
就職活動のときにやる「自己分析」のようなものですね。
「過去に自分はどういうことをしている時に楽しいと感じたか」、「どういう人をカッコイイと思うか」等を考えることで、「自分の理想とする姿」が見えてきます。

 

P213

仕事においてクリエイティブでいるためには、仕事においてはもちろん、そしてプライベートにおいても、常に新しいことにチャレンジするという習慣をもつことが必要なのだ。

 ポジティブ・アプローチで「自分の理想とする姿」が見えてこない場合は、日々の仕事で疲れて、想像力が衰えているのかもしれません。
このような時には、定期的に新しい趣味等にチャレンジし続けてみることで、少しずつ想像力が鍛えられ、「自分が楽しみを感じること」、「自分の理想とする姿」が見えてくると思います。

 

印象的なポイント③ 会社の中で自分のやりたいことを実現する方法

P101−102

よく、自己申告書で、毎年異動希望を出しているのに一向に異動できない、と嘆く人がいる。それは、個人の勝手な都合など会社はいちいち聞き入れられないから、当たり前のことだ。会社は福利厚生団体ではない。だから、まず会社としてこうするべきだ、という視点が必要ということだ。

会社が自分を選ばざる負えないような状況にまで、自分の価値を高める必要があるということですね。
「自分が選ばれるように会社をコントロールする」という、ポジティブな意識を持つことが重要です。

 

P84

ただ、生涯、あるいは長く留まろうという気持ちが強すぎると、前述のように、どうしても上司からの短期的な、君のもっている才能のごく一面にすぎない評価を気にするようになり、そして守りに入ってしまう傾向がある。

給料を得る手段が会社しかないと、どうしても会社にしがみつきたくなってしまいますね。
そうすると、会社からの無理難題を全て受け入れて、メンタルになってしまう等の問題が発生してしまいます。
こうならないためにも、忙しい人こそ、副業等の別の方法で収入を得られるようにすることが重要だと思います。

 

まとめ

本書に書いてある通り、「「会社に雇ってもらう」のではなく、「自己実現のために、会社で仕事をする」」という意識を持ちたいものです。
とにかくモチベーションが上がる本です。
定期的に読み返して、常に攻めの姿勢を失わないようにしたいと思います。 

他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

起業家のように企業で働く

起業家のように企業で働く