【書評】デイル・ドーテン「仕事は楽しいかね?」 〜仕事を楽しくするための方法を紹介〜
「仕事は楽しいかね?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
「楽しい」と迷いなく答えられる人は大変幸せですね。
この本は、老人と主人公の対話形式で物語が進行します。
一般的なビジネス書のように一問一答形式ではないので、人それぞれ、この物語の捉え方は変わりそうですが、私には「どうすれば仕事が楽しくなるか」書いてあるような気がしました。
人によって本の解釈は異なりそうですが、私なりの解釈を基に本書を紹介します。
本の紹介
デイル・ドーテンは、米国を代表する人気コラムニストで、人材育成、キャリアアップによる能力開発や成功をテーマに独自の理論を展開しています。
元々は、マーケティング・リサーチ専門会社、リサーチ・リソーセスを起業し、マクドナルド等を顧客に持つ全米でもトップレベルの会社にまで成長させた方のようです。
本書は、「仕事は楽しいかね?」3部作の1作目です。
印象的なポイント① 仕事を楽しくする方法
何故多くの人が仕事が楽しくないと思っているか?
P38
たいていの人は、マンネリ化した生活から抜け出すために目標を設定する。だけど、いいかい、今日の目標は明日のマンネリなんだよ
私はこの文章に、たいていの人が仕事が楽しくないと思っている理由が集約されていると思いました。
たいていの人は、仕事が少しでも楽しくなるように、「朝早く出社して頑張ろう」「プロジェクトで成果を出そう」等、目標を立てます。
そして、目標を立てたばかりのころは、仕事に対するモチベーションが一時的に上がり、仕事が楽しく感じられます。
ただ、数日すると、目標を立てたころのワクワク感は何処へやら、また仕事が楽しくないと感じる日々がやってきます。
他にも、新しいプロジェクトが立ち上がったばかりのころはワクワクして、楽しいですが、暫くすると、またつまらなくなったりします。
このように、最初は楽しいが、すぐにつまらなくなってしまうのは、マンネリ化が原因だと思います。
仕事を楽しくするにはどうすればよいか?
P89
人は、変化は大嫌いだが、試してみることは大好きなんだ。
P91
労働者は、リサーチに参加するのが好きなのだ。それも”大”がつくくらい好きなものだから、リサーチが行われるというだけで普段より業績をあげてしまうのだと。
目標を立てたばかりの頃がワクワクして楽しいのは、新しいことを「試そうとしているから」です。
それがすぐにつまらなくなってしまうのは、新しく試す要素がなくなってしまうためです。
ということは、新しく試す要素を毎日持ち続けられれば、毎日仕事を楽しいと感じられることになりますね。
ただ、仕事を楽しくする方法が分かったところで、「新しいことを試してみても、うまくいく確証なんてないじゃないか」、「そんなに毎日新しく試す要素が思いつくわけないじゃないか」と思いましたが、このような疑問に対して、ちゃんと本書でフォローされていました。
印象的なポイント② 試すことに失敗はない
P83
成功の宝くじでは、勝つチャンスは何百と手に入るし、そのほとんどは大損するようなものじゃないってことを。
P88
何かをやってみて、それがろくでもないアイデアだとわかったとき、きみは元の場所に戻ることは絶対にない。必ず、何かを学ぶからだ。学ぶべきことが何もなかった場合は、その前にしていたことに高い価値をおくべきだってこと。そういう意味で僕は、試してみることに失敗はないというのは真実だと思っている。
新しいことにチャレンジして失敗したとしても、命を取られるわけではない場合がほとんどです。
また、失敗したとしても、「何も学べない」ということはありません。
そのため、「新しいことを試してみても、うまくいく確証なんてないじゃないか」と、チャレンジを尻込みするのはもったいないということですね。
むしろ、チャレンジに成功するための「くじ」は体力のある限り無限に引けるのだから、成功するまで「くじを引き続ける(新しく試す要素を持ち続ける)」ことが重要であることが分かります。
印象的なポイント③ 試すことの見つけ方
P129−130
リストを三つ、作るんだ。
まず、仕事上でやったミスを全部書き出すこと。〜
次は、問題点を書き出すこと。仕事に関してイライラすることを残らず並べるんだ。だれかほかの人が不平を漏らしているのを聞いたことがあったら、それも書き出すこと。〜
最後に、仕事に関してやっているすべてのことをリストアップすること。
P131
一度書いたら、二度と書かないこと。同じものは決して書いてはいけない。つねにリストを変化させること。そして、三つのリストを目につきやすいところに置いて、毎日読むこと。このリストがあれば、きみは新しいアイデアを次から次へと生み出すことができるだろう
そんなに発想豊かでなくても、常に新しい試みを思いつくための手順が紹介されています。
全て書き出す時に、どの程度の粒度で書くかで負荷が変わってくるので、加減が難しいと思いますが、たくさん洗い出すほど、「試してみる」要素を多く見つけることができます。
一度に全部書きだそうとすると「試す」前に疲れてしまうので、1つずつリストを試してみたほうが良いと思います。
個人的には、1番目のリスト(仕事上のミスのリスト)または2番目のリスト(問題点のリスト)から始めてみるのが良いと思います。
まとめ
この本は物語形式なので、私の解釈が本来著者が伝えたかった内容とずれている可能性がありますが、自分の仕事において、何か新しいことを毎日試してみたくなる本です。
仕事に対するモチベーションが下がっている人、最近刺激が足りていない人に是非読んでほしい本です。
他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。