継続力

IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

【書評】P・F・ドラッカー「プロフェッショナルの条件」 〜本質的な生産性向上の方法を紹介〜

「仕事ができるようになりたい」、「生産性を上げて、定時で帰りたい」と悩みを抱えていた時に、この本を読みました。

本書は、「生産性を上げ、成果を出し続けるために何が必要か」明確な答えをくれる本です。

「とにかく成長したい」と考えている方に、オススメの本です。

  

本の紹介

 P・F・ドラッカーは、ビジネス界にもっとも影響力を与えた思想家の一人として知られているすごい人です。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の「マネジメント」を書いた人ですね。
アメリカの大学院の教授をする傍、経営コンサルタントを50年近くもしていたようです。
本書は、知的生産性向上と自己実現の秘けつを教えてくれます。 

  

印象的なポイント① 生産性をいかにして高めるか

生産性の定義

生産性に関する本書の記載に関して紹介する前に、そもそもの生産性の定義を記載します。

本書ではないですが、「イシューからはじめよ」(安宅和人著)の式を紹介します。

 

生産性=アウトプット÷インプット=成果÷投入した労力・時間

 

この式から、「生産性を最大化」するためには、「成果を最大化」し、「投入する労力・時間を最小化」するように行動すれば良いことがわかります。

 

それぞれの要素について、見ていきましょう。

 

成果を最大化する方法

成果の定義

わかった気になっていましたが、言葉にすると意外と難しいものです。

言葉にできないということは、ちゃんとわかっていないということなんでしょうね。

P85

あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。
すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成の三つである。

 各言葉の意味合いは次の通りです。

 

■直接の成果

企業における売上や利益など経営上の業績。病院においては、患者の治癒率。

 

■価値に対する取り組み

何がこの取り組みにあたるかを知るのが一番難しいですね。
「技術面でリーダーシップを獲得すること」や、「一般家庭のために、最も安く、最も品質の良い財やサービスを見つけ出すこと」が例として上がっています。
会社が目指すべき価値は、企業理念に定義されているケースが多いと思います。

 

■人材の育成

これは言葉の通りですね。今の社員もいつかはいなくなるので、その後任として、会社を支える人材を育てる必要があります。

 

成果の尺度

■知能労働は3種類ある

P60~61

第一に、知能労働のいくつかにおいては、仕事の成果は純粋に質の問題である。例えば、研究所の仕事である。
第二に、質と量をともに成果とすべき知識労働が幅広く存在する。デパートの店員の成果がそれである。
第三に、生命保険会社の保険金支払い、病院のベッドメーキングなど、その成果が肉体労働と同種の仕事が多数ある。それらの仕事の場合、質は前提条件であり、制約条件である。仕事の質は、成果ではなく条件である。最初から仕事のプロセスに組み込んでおかなければならない。組み込んでおきさえすれば、成果のほとんどは量で定義される。

 

成果の尺度が、仕事の「質」と「量」のどちらに依存するかを見極める必要があるということですね。

例えば、プロジェクトマネージャは、個人的な見解では、顧客満足度の向上という「質的な面」と、決められた期間内でどれだけ多くの仕事を捌くかという「量的な面」の両面があるので、2番目の分類かと思います。

 

■尺度を知る必要性

P61

知能労働の生産性を高めるには、その仕事が、成果に関して、いずれの範疇に属するかを知っておく必要がある。そうして初めて、何に取り組むべきかが明らかになる。「何を分析すべきか」「何を改善すべきか」「何を変えるべきか」を決定できる。さらには、知識労働のそれぞれについて、生産性の意味を明らかにすることができる。

 

まずは自分の仕事の成果を測る尺度を知ることが、成果をあげる上での一歩目になります。

この尺度で見た時に、成果が最大化されるように、行動する必要があります。

 

成果を最大化する方法

P61

成果が主として質を意味する仕事については、どう分析すべきは実のところまだ分かっていない。しかし分かってはいないが、こう問わなければならない。「何が役に立つか」。また、成果が質と量の両方を意味する仕事については、「何が役に立つか」を問うと同時に、仕事のプロセスを一つひとつ分析することが必要である。作業的な知識労働については、仕事の質の水準を定め、それを仕事のプロセスに組み込むことが必要である。生産性向上は、作業を分解し、分析し、組み立て直すことによって実現できる。

 

「量の面」で成果を最大化するためには、仕事のプロセスを分析し、最適なプロセスを構築することが重要ということですね。
「質の面」については、まだ答えはないようですが、「何が相手の役に立つか?」を考えて、各自で自分の仕事の価値を定義することが必要ということですね。
「質の面」を高める方法については、「イシューからはじめよ」(安宅和人著)が参考になると思います。

 

継続して成果を高めるために必要な2つのこと

P64

第一に、生産性向上には継続学習が不可欠であるということである。〜訓練の最大の成果は、新しいことを学びとることにあるのではなく、すでにうまくいっていることを、さらにうまく行えるようにすることである。
第二に、同じく重要なこととして、ここ数年の観察で明らかになったこととして、知識労働者は自らが教えるときにもっともよく学ぶという事実がある。

 

継続力が大事ということですね。
自分で継続して学習する癖さえついていれば、どんな仕事についてもうまく行く気がします。
また、他者に説明することにより、理解がより深まり、成長できるということですね。
私自身、この書評を記載することで、本書についてより深く、体系的に学ぶことができました。

 

投入する労力・時間を最小化する方法

 時間をまとめる

P119

時間を記録し、管理し、まとめるという三つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本となる。
成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。

P134

時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめることである。

 細切れ時間がいくらあって無駄なので、完全に割り込みタスクを排除した、まとまった作業時間を確保することが重要ということですね。

 

まとめた時間を最も重要なことに使う

P138

集中は、あまりに多くの仕事に囲まれているからこそ必要となる。なぜなら、一度に一つのことを行うことによってのみ、早く仕事ができるからである。時間と労力と資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数や種類は多くなる。これこそ困難な仕事をいくつも行う人たちの秘訣である。彼らは一つの仕事をする。その結果、ほかの人たちよりも少ない時間しか必要としない。

P139

成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っている。したがって、自らの時間とエネルギー、そして組織全体の時間とエネルギーを、一つのことに集中する。もっとも重要なことを最初に行うべく、集中する。

P142

実は、本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。優先順位の決定は比較的容易である。集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定と、その決定の遵守が至難だからである。

P144

集中とは、「真に意味あることは何か」「もっとも重要なことは何か」という観点から、時間と仕事について、自ら意思決定をする勇気のことである。この集中こそ、時間や仕事の従者となることなく、逆にそれらの主人となるための唯一の方法である。 

 

まとまった時間を有効活用するためには、あれも、これもと手を出すのではなく、一度に一つずつ片付けていくことが重要です。
多くの仕事がある状況でも、マルチタスクを完全に排除し、シングルタスクで順番に片付けて行った方が、絶対に早く仕事が終わります。

この考え方を有効に使った方法に、ポモドーロテクニックというものがあり、非常に役に立ちます。

 

印象的なポイント② 自己実現のスタート地点に立つための問い

P234−235

私が十三歳のとき、宗教のすばらしい先生がいた。教室の中を歩きながら、「何によって憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。「今答えられるとは思わない。でも、五十歳になっても答えられなければ、人生を無駄にしたことになるよ」

「何によって憶えられたいかね?」 

核心をついた質問ですね。
「自分が何者になりたいか。」
まだ見つかっていませんが、できる限り早く見つけたいものです。

 

印象的なポイント③ リーダーシップの本質

リーダーの要件

P184〜P185

リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。〜リーダとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。もちろん、妥協することもある。
リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、地位や特権ではなく責任と見ることである。優れたリーダは、常に厳しい。ことがうまくいかないとき、そして何事もだいたいにおいてうまくいかないものだが、その失敗を人のせいにしない。
リーダたる第3の要件は、信頼が得られることである。信頼が得られないかぎり、従う者はいない。そもそもリーダーに関する唯一の定義は、つき従うものがいるということである。

 リーダーにはカリスマ性なんかは必要なく、リーダーという仕事を認識して、責任を持ってやりきることが大事ということですね。
こうみると、先天的な才能ではなく、自分自身の覚悟さえあれば、誰でもリーダーになる資格はあるということですね。

 

目標によるマネジメント

P175

目標と自己管理によるマネジメントにおいては、「自分はいかなる貢献を行うべきであると考えているか」が明らかにされる。こうして明らかにされる考えが、上司の期待どおりのものであることはむしろ稀である。実のところ、目標によるマネジメントの第一の目的は、上司と部下の知覚の仕方の違いを明らかにすることにある。もちろん彼らの知覚の仕方が違っても、それが現実である。

 

上司あるいは部下と面談を設ける際は、各々の視点からみた目標が何かを言葉で定義して、すり合わせることが大事ということですね。
思うように成長できていないと思う部下がいる時は、本人に期待している目標を伝える場を設けて、進むべき道を示してあげることが大事なんでしょうね。

 

まとめ

働き方改度などで、生産性向上が求められていますが、そもそもの生産性の意味をしっかりと理解し、対策を練らないことには、生産性向上は成功しません

 本書を読んで、どうすれば生産性が上がるのか、非常によくわかりました。

他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。