【書評】本多静六「人生計画の立て方」 〜理想の自分を実現するための方法を紹介〜
日々、目の前の仕事だけをこなしていて、「このまま年老いて人生が終わるのは嫌だ」と思った時に読みました。
本書は、「日々の仕事」も「理想の自分」を実現するための1つの要素でしかないことを気づかせてくれます。
また、「日々の仕事」に対する取り組み方の意識も変えてくれます。
本の紹介
天才中学生が投資を行う漫画「インベスターZ」(著者:三田 紀房)でも紹介された、投資家「本多静六」の本です。
本多静六博士は、「日本の公園の父」と称され、日比谷公園ほか、生涯を通じて数多くの公園設計に携わりました。苦学して東大教授になり、「月給4分の1天引き貯金」を元手に投資で巨万の富を築きました。
お金持ちになるための方法を記した「私の財産告白」が一番有名ですが、この本では、お金だけにとどまらない、「人生計画の立て方」と「実現方法」、名言が紹介されています。
印象に残ったポイント
私が特に印象に残った3点(「人生計画の立て方」「人生計画の実現方法」、「人生計画を実現するために必要な自信のつけ方」)を紹介します。
ポイント① 人生計画の立て方
なぜ「人生計画」を立てる必要があるのか?
P29
人それぞれの人生計画を立て、目標を定めることによって、1日1日の生活を希望に溢れ、歓喜力行につとめ、一歩一歩の生活を楽しく、有意義に張り切って、働き続けてゆけるのである。人生計画はまた一つの努力計画でもあるのだ。
確かに、目的地と到着期限がわかってないと、「どの方向」に「どのくらいのペース」で進まないといけないのかが分からないですよね。
日々を一生懸命に活き活きと過ごすためには、「どこに」「いつ」たどり着きたいのかを決める必要がある事がわかりますね。
「人生計画」を立てる方法は?
■最高目標を定める
P54
自分が一生涯に到達せんとする確固たる最高目標を定める事が肝腎である。
P65
われわれは、自己の実力と、才能と、そして健康と境遇とを参酌して、時世に最も適した人生計画をたてていかねばならぬのである。
人生の最終目標を決める部分が一番「ワクワクするところ」であり、「最も難しいところ」ですね。
「低すぎず」、「高すぎず」、「努力し続ければ届く範囲の理想」をどれだけ具体的に考えられるかがポイントですね。
■最高目標を実現するための実践的な計画の立て方
P66
理想の計画をめざして、各段階を乗り越えて行く実践計画の設定が必要とされてくる。
本書で紹介されている計画の立て方をまとめると以下の手順になると思います。
1日の単位までブレークダウンするように記載されていますが、
自分の場合は、日によって達成度に差が出てしまうので、週単位での目標にとどめています。
①20年を1期とみなして、20年単位の目標に分割する。
②各20年を、さらに5年単位の目標に分割する。
③直近の5年後の目標を1年単位に分割する。
④年初にこの1年の目標を月単位に分割する。
⑤各月初に月単位の目標を日単位に分割する。日単位の目標は、個人の能力よりも少し高い目標にする。
⑥5年経過後に、次の5年について、③〜⑤を行う。
ポイント② 人生計画の実現方法
人生計画を実現するための9カ条とは?
P70−94
第一 常に心を快活に持つこと。
第二 先進その業に励むこと。
第三 功は人に譲り、責は自ら負うこと。
第四 善を称し悪を問わないこと。
第五 本業に妨げなき好機はいやしくも逸しないこと。
第六 常に普通収入の四分の一と臨時収入の全部を蓄えること。
第七 人から受けた恩は必ず返すこと。
第八 人事を尽くして時節を待つこと。
第九 原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと。
特に以下の3点がポイントかなと思いました。
①第二 先進その業に励むこと。
P132
「職業の道楽化」が第1番にめざされてこなければならぬ。
P134
何事でも好きになるまで努力すれば、自然それが必ず上手になるまでなれるものであって、努力はついにその人を天才にし、名人にまでする。
”職業の道楽化” すごい言葉ですね。
「仕事が好きだから努力できるのか」、「努力し続けたから仕事が好きになったのか」。
「卵が先か」、「ニワトリが先か」の議論に似てますね。
本多静六博士は明確に、「努力し続けたから仕事が好きになった」のスタンスのようです。
確かに、「仕事を好きになる」のは、仕事が全くできないと難しく、自分でコントロールするのが難しい気がしますが、「努力して仕事ができるようになる」のは自分で十分コントロールできますね。
難しい事を考える前に、「できるようになるまで、単純に頑張ろう」と決めるのが大事な気がします。
②第五 本業に妨げなき好機はいやしくも逸しないこと。
P82
とにかく、あらゆる機会を利用して、ごくおおざっぱでもよいから、各種各様の実際を調べておくと、その生きた知識がやがていろいろな仕事に役立つもので、本人自身もいよいよ各方面に重宝される存在となって、その活動分野も次第に広くなってくるものである。
本業で見聞きすることの中には普通に生きていても得られないような、他に活かせるチャンスがねむっているので、本業以外に活かせる事がないかを探すということですね。
意外とこれが、本業自体を楽しむことにもつながる気がします。
③第八 人事を尽くして時節を待つこと。
P139
人生計画の一断面として、生活日課の合理的な設計が、各人各家の実情に応じてなされなければならぬのである。
努力を継続するために、「やらないといけないこと」を「日課」のレベルにする必要があります。
「日課」として継続するためには、毎日違う時間に実施するとどうしても続けられないので、毎日決められた時間にできるように、生活を設計することから始める必要があるということですね。
人生計画を山登りに例えると?
P108−114
1、まず、自分の体力と立場、実力と境遇に応じた最も適当なコースを、自分自身でもよく研究調査し、またその道の経験家にも相談して選定すること
2、一度決定したコースは途中で変更しないこと
3、なるべく軽装をし、不用品を持参せぬこと
4、急がず、止まらず、怠らぬこと
5、途中を楽しみながら登ること
6、食物は腹八分目にとること
7、無駄道、寄り道をしないこと
8、時と場合によっては、急がば回れの必要もある
9、近道、裏道をしないこと
こう見ると、人生計画は本当に山登りに似ていますね。
山登りに例えることで、
- 目標に到達するための現実的な計画の必要性
- 到着するまで努力し続ける必要があること
が分かりますね。
ポイント③ 自信を植え付ける方法
P106
一つの完成は一つの自信を生じ、さらに高次元的な完成を生むのであって、この完成の道程には、限りなき自己練磨の進境が開かれてくるのである。
やること1つ1つに目標を定めさせて、完成を目指させる事が大事。
その達成が自信になるということですね。
この部分は子供に読ませるのも良い気がします。
まとめ
日々を活き活きと過ごすために、人生計画を立ててみようと思える本です。
他にもためになることがいっぱい書いてあるので、ぜひ読んでみてください。