継続力

IT系サラリーマンが、書籍や講座から学んだこと、効果があった勉強方法を紹介します。

PMP勉強方法 〜試験合格だけにとどまらない、実務にも役立てるための勉強方法〜

「現在仕事でプロジェクトマネージャ(PM)をやっているが、自分のやっている仕事がPMタスク全体のうち、どの部分のものかがわからない。。。」

「いくつかのプロジェクトのPMを経験してきたが、毎回手探りになってしまい、いまいち自信が持てない。。。」

等の悩みを感じたことがある方に、是非受けて欲しい資格があります。

 

PMPです。

 

はじめまして、私は関東のSIerで働いており、これまでに幾つかのプロジェクトのプロジェクトマネージャ(PM)を担当してきました。

 

PMPは「必須資格」ではないですし、「これだけ持っていれば、どんなPJでもマネジメントできる」といった類の資格ではありません。

ただし、はっきり言って、「PMをやるなら、PMP”最低限”取得しておくべきもの」であり、PMPの勉強を通じて「PMとしてすべき事の全体像が分かる」ので、非常に役に立つと考えています。

私自身、PMPの勉強で学んだことが実務に役立っているので、PMを担当している人にPMP試験の受験を強くオススメします。

 

以降、私がPMP試験に合格した際の勉強方法を紹介します。以下のような疑問が解決すると思います。

  • 忙しい毎日の中で、勉強を継続するための勉強タイミング、場所の工夫はあるか?

  • 単調な暗記作業を集中して行うための勉強方法があるか?

  • 単にPMP試験に合格するというだけでなく、PMP試験の勉強で学んだことが「実務においても役立つ」ようになるための勉強方法はあるか?

 

 

PMP試験結果

この勉強方法により、ある程度余裕をもって、試験に合格することができました。

■評価の定義

  • Above Target:基準値以上

  • Target:基準値通り

  〜ここより上が合格〜

  • Below Target:基準値以下

  • Needs Improvement:基準値をかなり下回っている

 

■結果

  • 全体:Above Target
  • プロジェクトの立上げ:Target

  • プロジェクトの計画:Above Target

  • プロジェクトの実行:Above Target

  • プロジェクトの監視コントロール:Above Target

  • プロジェクトの終結:Needs Improvement 終結がイマイチですね。。。

 

おすすめの勉強スケジュール

PMPの試験を受けるために必要な研修や申請を除いて、私はPMP試験勉強に”3ヶ月半掛けました。

毎日おおよそ”2時間”ずつ勉強しました。

 

なお、PMPの勉強を通じて学ぶPMBOKの知識は、IPAのプロジェクトマネージャ試験(例年4月のみ受験可能)にも役立つため、PMPとプロジェクトマネージャ試験は時期を合わせて受験すると効率が良いと思います。

私はPMPを先にうけて、その3ヶ月後にプロジェクトマネージャ試験を受験しました。(プロジェクトマネージャ試験の勉強方法は後日紹介予定です。)

逆の順番でもいいと思います。

 

おすすめの勉強時間帯、場所

「どうしてもその日の仕事量によって帰りが遅い、あるいは、飲み会が突然入ってしまって帰りが遅くなる等により、夜は勉強時間があまり取れない。」、「仕事から家に帰ると集中して勉強できない。」ということがあるかと思います。

私はこういった問題になるべく影響を受けずに、毎日2時間勉強するために、次の時間帯、場所で勉強しました。

週末もほぼ同じルーティンで勉強しました。

 

(1)出社前に朝1時間家で勉強

  • 最初はきついですが、そのうち慣れます。

  • お子さんがいる家庭でも、朝早くは誰にも邪魔されないので、安定的に勉強が継続できます。

  • 朝早く起きて勉強すると、朝食までに目が完全に覚めるので、美味しく朝食が食べられます。

(2)夜は直接家に帰らずに、マック等で30分だけ勉強

  • とにかく30分だけでも勉強することが重要です。
  • マックは安くて重宝しました。
    夜にコーヒーを飲むと眠れなくリスクがあるので、野菜ジュースやお茶などを頼んでいました。

  • 同じ場所で勉強することに飽きてきたら、たまに場所を変えるのも有効です。

(3)勉強場所から家まで歩きながら30分勉強

  • 家から少し離れた場所で勉強していたので、家までおおよそ歩いて30分程度ありました。

  • 後述する暗記ノートを見ながら30分程度ブツブツつぶやきながら帰っていました。

 

おすすめの教材

  • PMP試験合格虎の巻

  • PMPパーフェクトマスター

     

勉強方法 

勉強方法のポイント

取り組む前の注意点として、IPA情報処理技術者試験等と違い、PMPには問題集通りの問題はほとんど出題されません。

このため、単純に「問題集の答えの暗記では対応できない」と思います。

類似の問題は出ないので「本質の理解」が必要だと考えています。

また、それなりに範囲が広く、最低限覚えておくべきことも多いので、「集中して暗記するための工夫」も必要です。

この点を踏まえた、私の勉強法のポイントは4つです。

 

(1)問題集とは違う聞き方をされても本番の試験で解けるように、問題の要点をまとめる。

本多静六博士の「エキス勉強法」※に近い方法で、以下①②をまとめる。

 ※「エキス勉強法」については、本多静六「私の生活流儀」参照

 

①何を問うための問題か?

  • 問題文を噛み砕いて、シンプルにいうと何を聞きたい問題なのかを、自分の言葉で表現します。
  • 自分の言葉で表現する訓練をすることで、多少違う問題が出題されても、適切に答えられるようになります。

<例>

■問題集の文章

多くのプロジェクトでは、プロジェクトの品質マネジメントに近代的品質マネジメントの考えた方が取り入れられている。近代的品質マネジメントの基本的な考え方によれば、品質が達成されるための最大の要因はどれか。

 

■自分の言葉で問題をシンプルに表現

品質を担保するためのスタンスを問う問題。

 

②「何故その選択肢が正解なのか?」、「何故他の選択肢はダメなのか?」

  • PMP試験では、複数の選択肢の内、「間違いではない選択肢が複数あり」、「その間違いではない選択肢の中から、より最適な選択肢を選ばせる」問題が出題されます。
  • この問題に対応するためには、「何故正解の選択肢が最適なのか」、「他の選択肢のどこがダメなのか」を理解する必要があります。
  • このため、各選択肢に対して、「何故その選択肢が正解なのか?」「何故他の選択肢はダメなのか?」を整理することが、本番での正答率向上に役立ちます。

<例>

■問題集の文章

多くのプロジェクトでは、プロジェクトの品質マネジメントに近代的品質マネジメントの考えた方が取り入れられている。近代的品質マネジメントの基本的な考え方によれば、品質が達成されるための最大の要因はどれか。

 

■不正解の選択肢の例

可能な最良の仕事を成し遂げる努力

 

■不正解の理由

PMは品質に対する責任を自覚する必要があり、単なる努力では足りないため。

 

(2)知識をより深めるために、自分で問題を作る。

「このジャンルの問題で、他にどんな問題が出題されるか?」を考え、まとめる。

  • 問題を単純に解くだけであれば、問題で聞かれていることだけをピンポイントで知っていれば解けます。
  • 一方、問題を作るためには、「出題されている箇所についてより深く理解する必要があり」、さらには、「問題で聞かれていない部分も含めて把握している」必要があります。
    このように、浅い理解では問題は作れないため、「問題を作ることは、より深く理解するためのいいきっかけになる」と思います。
  • 深く理解していれば、多少違う出題をされても適切に答えられます。
  • 最初は作るのに苦労しますが、慣れてくるとサクサク作れるようになってきます。

<例>

■問題例

PMは品質マネジメントとして何をすべきか?

 

■回答例

品質マネジメント計画を策定し、品質保証プロセス、品質コントロールプロセスをマネジメントする。

  

(3)実際の仕事で使えるようにするために、実プロジェクトに当てはめて考える。

「実プロジェクトでは具体的にどういう局面で活かせるか?」を考え、まとめる。

  • 実際のプロジェクトで困った時の対策がスムーズに思いつくようになり、勝ちパターンを構築することができるようになります。
  • 問題によっては、実プロジェクトへの当てはめが難しいものもありますが、「何か仕事に活かせないか?」を考える行為自体が、問題をより深く理解することにつながります。 

<例>

■問題集の文章

多くのプロジェクトでは、プロジェクトの品質マネジメントに近代的品質マネジメントの考えた方が取り入れられている。近代的品質マネジメントの基本的な考え方によれば、品質が達成されるための最大の要因はどれか。

 

■問題の回答

品質が達成されるための最大の要因は、プロジェクトマネージャが品質に対する責任を自覚し、初めから品質計画をプロジェクトに組み込んでおくことになる。

 

■仕事への活かし方例

自分自身でプロジェクト計画を策定する際に、品質計画を盛り込む。

 

(4)集中して暗記するために、歩きながら、ノートに書いたことをつぶやいて覚える。

(1)〜(3)でノートに整理した内容を歩きながらつぶやいて、覚えます。

  • 本多静六博士の「行読法」※という勉強方法です。
    ※「行読法」については、本多静六「私の生活流儀」参照
  • 歩きながらつぶやいていると意外と飽きずに続けられます。
  • ダイエットにもなります。
  • 集中しすぎて事故らないように、安全な場所でやりましょう。
  • 暗記が捗ればこの方法でなくても良いと思いますが、私はこれが結構ハマりました。

(1)〜(3)については、綺麗にまとめることが目的ではなく、理解して覚えることが目的なので、直接問題集に書いてもいいと思いますが、(4)の行読法がやりやすくなる形式にまとめた方がいいと思います。

  

 

具体的な勉強手順

勉強方法のポイントを踏まえて、具体的には以下の方法で勉強しました。

(1) 問題を解きつつ、正解、不正解によらず、ノートに要素をまとめる。

■実施時期

  • 勉強開始〜2ヶ月目が終わるまで。
  • 2教材分をまとめるのに、2ヶ月かかりました。

■まとめること

以下4点をまとめる。

  • 「何を問うための問題か?」
  • 「何故その選択肢が正解なのか?」、「何故他の選択肢はダメなのか?」
  • 「このジャンルの問題で、他にどんな問題が出題されるか?」
  • 「実プロジェクトでは具体的にどういう局面で活かせるか?」

■注意点

  • ノートに綺麗にまとめることが目的ではないので、まとめる時間にあまり時間をかけないようにしましょう。

  • ただし、後述(2)で使うため、ノート単独でわかるレベル、読めるレベルにまとめましょう。

 

(2)歩きながら、ノートに書いたことをつぶやいて覚える。

■実施時期

  • 勉強開始〜試験直前までずっと実施。
    ノートへのまとめが終わったものから順次着手。
  • 1日30分実施。1問1分程度。毎日30問程度ずつ読み返す。
  • 前半に書いたものほどループ回数が多くなりますが、少ないところでも3周はノートを読み返しました。 

■注意点

  • 自転車等とぶつかって怪我しないように、安全な場所でやりましょう。
  • はかどるのであれば、歩かなくても結構です。

 

(3)プロジェクトマネジメントプロセス一覧(知識エリアとプロセス群のマトリクス)を全て暗記。

■実施時期

  • 勉強開始3ヶ月目〜3ヶ月目の1週目
  • ノートへのまとめが一通り終わった後。1週間程かけて暗記。
  • これをやるとPMBOKの全体像がわかるため、一番最初に実施しても良いかもしれません。

■注意点

  • 何も見ずにスラスラ書けるレベルを目指しましょう。
  • 覚えられるまで毎日繰り返しましょう。

 

(4)各知識エリア、各プロセス群の切り口で、自分で「10問」の問題を作って回答してみる。

■実施時期

  •  勉強開始3ヶ月目の2週目〜3ヶ月目の3週目
  • 15個(知識エリア10個、各プロセス群5個)切り口があるので、1日2つの切り口について問題を作成すれば、8日程度で完成。 

■注意点

  • 作成して終わりではなく、問題の質を上げるために、この問題と回答で意味があるのか、分析する。
  • どういう問題が作れれば良いかの答えがあるわけではないので、ある程度自分で納得できるレベルの問題をつくることが重要。

 

(5)各知識エリアについて、自分の言葉で説明してみる。

■実施時期

  •  勉強開始3ヶ月目の4週目に2日程度
  • 1日5個の知識エリアについてまとめると、2日で終わります。

■まとめること

  • 「各知識エリアの目的」を1文程度で表現
  • 各知識エリアについて、「他の知識エリアとのつながり」をあるだけ列挙
  • 「問題集でよく聞かれたこと」を3点程度列挙

 

(6)最後の仕上げとして問題集を一通り解き直す。 

■実施時期

  • 試験直前の2週間( 勉強開始4ヶ月目1週間目〜2週間目)
  • 平日は1.5時間、問題を解き続ける。1日90問程度。 
  • 巻末の200問は解くのに時間がかかるため、週末の時間が取れる日に実施。

■やったこと

  • 問題集を再度一通り解く。
  • 間違えた問題はできるまで繰り返し解く。
  • 本番を意識して1問1分程度のスピードで解く。
  • 巻末の200問を通しで解く練習をする。
    各教材に1回分ずつついているので、2回実施。
    どの程度疲れるかを身を持って体験する。
    かなり疲れるので、試験前日はやめておいた方が良いと思います。

 

(7)試験直前は上記(3)〜(5)を見直す。

 

まとめ

この勉強方法を信じて継続していただければ、必ずや良い結果が得られると思います。

PMPに合格すると、PMとしての知識のベースラインができるため、自信がつきます。

あとは、実務で経験を積むだけです。

試験勉強とだけ考えると大変ですが、「実務に役立つ」と考えて、頑張ってください。